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彦井先生の運動と健康のコラム

5月のテーマ~運動で老化予防~どれぐらいの運動が必要なのでしょうか?

「老化」というと、どういったところでそれを実感するものでしょうか。見た目、顔映り、姿勢、体力の低下や疲労回復の遅れ、意欲の低下など。見た目や顔映りといった外面的なものを除けば、階段の上り下りが辛い、長い時間歩くと疲れやすい、椅子から立とうとすると膝が痛むなどの持久力、筋力、運動機能の低下は、有酸素運動や筋力トレーニングを行うことで改善が期待できそうです。

一般的に、有酸素能力(持久力)を高め、また生活習慣病などの慢性疾患を予防するために必要とされる運動量は、1日30~60分程度の中強度(10段階の5~6。会話はできるがややきつく感じる強度)の有酸素運動を週5日以上、合計で週あたり150~300分になることが推奨されています。これは60歳以上の高齢者でも同様です。10分ずつの運動を組み合わせて1日30分以上にすることでもかまいません。

あるいは、運動経験のある人では、1日20~30分のやや強めの強度(10段階の7~8。きつく感じる強度)の有酸素運動を週あたりの合計で75~150分になるように取り組めばより効果的とされています。有酸素運動にはウォーキングやジョギング、水中運動、自転車運動などが挙げられます。特に水中運動、自転車運動は膝や腰に問題のある人など体重による負担を避けたい人に適しています。

加えて、筋力トレーニングは筋力や膝や肩などの運動機能の改善に有効です。全身の各筋群を使用する8~10種目の運動を、中強度(10段階の5~6)から高強度(10段階の7~8)で8~12回繰り返します。ウエイトや抵抗を利用した筋力トレーニングや体重を使った運動を週に2日実施できるとよいでしょう。その他、適宜、柔軟性や関節の可動域を高める運動も実施できると効果的です。

もっとも、推奨されているとはいえ、上記の運動量を実行することはけっこう大変かもしれません。かといって、これらを行わないと体力の向上や改善が見込めないのかというとそうではありません。より効果的に運動を行うために、また、すでに運動経験のある人が現在の体力をさらに高めるために必要となる運動量とも言えます。したがって、あくまで理想として捉え、そこにできるだけ近づけるように取り組むことでも少なからず運動効果を期待できるはずです。 また、すでに慢性疾患を患っていたり、運動機能が著しく低下していたりなど、推奨どおりの運動実施が困難な場合は、身体の状態や体力に合わせて少しでも活動的であることが勧められます。

老化を防ぐことはできません。しかし、工夫次第でその影響を軽減させることはできるでしょう。それに積極的に取り組むかどうか。その意欲は、アンチエイジング(抗老化)というより、高齢になってもはつらつとしていられるエイジレス(年齢にとらわれない)なライフスタイルにつながっていくと思います。そうすれば、見た目や顔映りもよくなり、周りからも賞賛されること間違いなしです。

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